タンクの空気を呼吸できる圧力、すなわち環境圧までタンクの空気圧を下げる機構を減圧機構(注1)といいます。現在のレギュレーターは、二段減圧方式といって、二回に分けて人が呼吸できる圧力にする仕組みになっています。
最初を第一減圧部あるいはファーストステージといいます(左図.上:アンバランスタイプ)。
最終的に人が呼吸する圧力にする箇所を第二減圧部あるいはセカンドステージといいます(左図.下:ダウンストリュームタイプ)。
ファーストステージは、タンクのバルブに接続する箇所で、内部に組みこまれたスプリングと環境圧感知機構によって10kg/cm2(注2)+環境圧に減圧されます。
ここで、タンクおよびレギュレーターに関する空気圧の呼び名を覚えてください。タンクから出る空気圧を高圧、ファーストステージで減圧された空気圧を中圧、実際に呼吸する空気圧を低圧といいますが、よく耳にするのは、高圧と中圧です。
ファーストステージで作られた中圧は、中圧ホースによってセカンドステージに送られます。この時点では、中圧はスプリングのバネ圧によって止められていて空気はでません。
さて、どうして空気が出てくるというと、セカンドステージは、ダイヤフラムという薄いゴムの膜で、周囲の水と気室とに分けらます。
レギュレーターをくわえると、気室は、気管や肺そしてマスクの空間などと一体になった空気の部屋になります。息を吸うと、肺つまり空気の部屋全体の圧力が下がります。すると、周囲の圧力の方が高くなるのでダイヤフラムをレギュレーターの内側へと押します。ダイヤフラムがおされると、いっしょにレバー(デマンドレバーという)も押され弁が開き、それによって空気が出てきます。
息を吸うのをやめると、周りの圧力と気室圧力が同じになるので、ダイヤフラムは元の位置に戻り、スプリングのバネ圧によって弁が閉まります。
吸気によって発生する肺側の圧力は、環境圧より低くなり、肺側と環境側の圧力差を利用して(注3)、ダイヤフラムとデマンド弁が作動します。この作動原理で自動的に空気圧が調整されます。この発明が画期的なことで、人の呼吸動作に合わせて呼吸ができることになりました。この機構がデマンド機構です。この弁のことを、日本語で応需弁といいます。
吐いた息は、排気弁(注4)をすり抜けて、水中に開放します。
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