【風の原因】
 風の原因は、気圧の場所による違い、つまり気圧の傾きよっておこる力(気圧傾度力)です。この力によって空気は、気圧の高い方から低い方に向かって動きます。

【大気環流の原動力】
 地球は、赤道地方では極地方より、太陽熱を受ける量が大きいために、赤道地方を熱源、極地方を冷源とする熱機関が構成され、大気環流の原動力となっています。
 すなわち、低緯度地方と高緯度地方とでは、地表面による大気の加熱量が異なるため、赤道で熱せられた大気は上昇して上層で極向きに流れ、極で冷やされた空気は沈降して下層で赤道向きに流れ、大気は赤道と極の間で大規模な熱対流を形成します。
 しかし、大気は地球の回転に引きずられ、地軸の周りを西から東に回転する流体殻を構成しているので、熱対流による南北方向の環流と、回転による東西方向の環流が重合して、複雑な環流系を形成しています。

【貿易風】
 熱帯に定常的に存在する偏東風で、亜熱帯高気圧から赤道に向かって吹く東風です。北半球では北東の風、南半球では南東の風になっています。熱帯東風ともいいます。緯度30度から5度くらいの低緯度地方の地表で観測されますが、特に海洋上で顕著にみられます。貿易風系は南北方向の鉛直面で、赤道付近で上昇し、亜熱帯高気圧圏内で下降する大規模な対流を形成しています。この名は15世紀に始まった大航海時代、ヨーロッパの帆船貿易に由来して名付けられました。

【偏西風】
 北極や南極と赤道付近では太陽から受ける熱量が違うために、いつも同じ方向に吹く風が生じています。そして地球の自転(コリオリの力)によって、北半球と南半球の中緯度(緯度30〜65度帯)で西から東へつよい風が吹くようになります。これを偏西風と呼びます。冬は低緯度側に広がり、夏は高緯度に縮小します。偏西風の中で特に強い風をジェット気流(ジェットストリーム)といいます。

【季節風】
 季節によって吹き分けられている風系をいいます。たとえば日本付近では、冬季には北西風が、夏季には南東風が卓越して吹きます。これらが日本の季節風です。季節風は英語ではモンスーンmonsoonといいます。
 日本が季節風地帯にあることを抜きにして日本の風土は考えられません。冬の日本海側の多雪は、大陸からの季節風の吹き出しによるものであり、梅雨期の開始、終わりは夏の南西季節風の動静に関係します。高温多湿の日本の夏の天候は南東季節風の支配下の天候です。

【陸風と海風】
 昼夜で風向きがほぼ反転する局地的な風です。晴天の日、熱帯および温帯地方の海岸地方で発達します。陸地は太陽の熱で暖められやすいのですが冷めるのも早い、逆に海は暖まりにくく冷めにくい、という性質があります。そのために、陸地と海では温度差が生じ対流性の風が吹くことになります。昼間は、海から陸へ吹く海風、夜間は陸から海へ吹く陸風となります。一般に海風のほうが顕著です。朝夕、海と陸の温度差が小さくなって風が止みます。つまり、海風と陸風が交替するとき、一時無風状態になります。無風時を凪(なぎ)といって、朝に1回(朝凪)、夕に1回(夕凪)あります。

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