炭酸ガス中毒

 空気中の0.03%の二酸化炭素は、血液の安定を保ち、生体の正常な活動に寄与しています。空気中の二酸化炭素も、少なくても多くても具合がわるいのです。二酸化炭素中毒は、日常生活においてもっと身近なので、参考までに掲げておきます。

[呼吸する空気の二酸化炭素が欠乏すると] 
 血中二酸化炭素が低下して、呼吸は浅く遅くなり、また脳血管収縮による軽い脳の酸素欠乏を引き起こします。

[呼吸する空気の二酸化炭素が上昇すると] 
 血管拡張と、呼吸中枢刺激による呼吸深が大きくなります。

空気中の二酸化炭素濃度

生理作用

0.5%

許容濃度

1〜2%

数時間の吸入では症状はない。不快感。

3〜4%

呼吸深大。眼および上部気道刺激感、顔面紅潮、頭痛、めまい、耳鳴、徐脈、血圧上昇。

6%

頻呼吸、熱感、皮膚血管拡張、悪心、嘔吐。

7〜8%

肺うっ血、呼吸困難。

10%以上

数分以下で意識を失い、チアノーゼを起こして死亡する。

 二酸化炭素は、無色,無臭の気体ですから、事前に感じることはまず不可能です.窪地などに溜まっていることが多いので、そのような場所に近づかないことです。
 また、二酸化炭素を5%含んだ空気を30分間吸い続けると、その場から脱出することが難しくなるといいます。
 1997年7月の青森・八甲田山の田代平での自衛隊員、1986年8月のカメルーン共和国ニオス村での二酸化炭素中毒事故がありました。前者は火山ガス、後者は湖水中からの二酸化炭素の大量気化が原因と見られます。