海のコンデション

 日本の夏は南高北低に気圧配置になり黒潮が近づき、冬には西高東低の気圧配置になり黒潮も遠ざかります。夏らしい、冬らしい、と海の中もそれぞれに趣があってダイバーを楽しませてくれますが、日ごとに海は様相を変えます。昨日透明度が良かったのに、今日は悪くなっている、などのことは稀なことではありません。

【温度層】

夏も近づく頃、海面は日射によって暖められます。水は空気より熱伝導率は高いですが、水自身の熱の伝播は遅いもので、海面が暖められたといっても深いところまですぐ一様な水温にはなってくれません。

 暖かい水は軽くなり上のほうへ、冷たい水は重くなりしたのほうへ、と向うので海中には暖かい水の層と冷たい水の層に分かれます。このような水温の境目をサーモクライン(温度層)といいます。

 夏、海面が暖かいからといっても、下層は冷たい水がありますから、くれぐれも水着だけのような軽装で潜ることは慎まなければなりません。

 このサーモクラインは、海より湖のほうが顕著なので、湖のダイビングを防寒対策を怠らないようにしてください。

 

【湧昇】
 冬は冷たく透明度もいいクリスタルの海が、春の訪れで日射が強まり海面が温まるとプランクトンも増殖して春にごりとなり、夏には水面近くの水温がより高まり温度層(サーモクライン)がもっとはっきりし、秋から冬にかけて海面が冷やされると、海面の水が沈み透明度のいい深海の水が上がってきて(湧昇現象)、一様にブルーな透明度がいい海中となります。これはすべての年に当てはまるとはいい切れませんが、伊豆半島で経験している季節の変化の例です。

 また、その日が大潮か小潮か、満潮時か干潮時か、風が海からまたは陸から吹いているか、によっても海中のコンディションが変わりますから、いちがいにいえません。

 水中のコンディションといえば、やはり透明度や透視度がいちばんに上がります。おおまかにいえば、透明度は大潮の頃は海水の移動も多いので小潮の頃よりもよく、また満潮時のほうが干潮時よりもよく、風が陸から吹いていれば海面の浮遊物や濁りなどは沖に流されよくなります。

 このように海中のコンディションは、季節や海流や潮汐、そして日の天候によって変わります。これらを考慮すれば海に入る前に、だいたいの予測はつけられます。