【マスクの空間】
潜水するためにできる代表的な空間です。潜るとマスクが顔に押しつけられてきます。押し付けられたままでいると目が充血したり、目のまわりにクマが残ったりします。マスクスクイズです。
スノーケルの呼吸の項で、スノーケルやスクーバでの呼吸は、「口から吸って、口から吐く」ばかりでなく、「口から吸って、鼻から出す」ことも練習、とありました。マスクが押しつけられてきたら、鼻からプッと息を出してください。外圧とマスク内圧が平衡して、この押しつけはなくなり、スクイズを防ぐことができます。
この動作を「マスクブロー」といい、耳抜きと同様、最も大切な基礎的な技術です。
もしマスク内に水が入ったら、スノーケリングやスキンダイビングでは、水面から顔を出してマスクの下を開ければ水は出ていきます。
しかし、スクーバで潜っているときには、マスクの水を出すためにいちいち水面に戻っていられません。マスクブローと同じように鼻から息を出せば、マスク内に空気が溜まっていくので、マスクに入った水は追い出されます。このとき、マスクから空気が逃げないように、おでこ側のスカートをしっかり押さえつけ上を向くと、マスクの下の方から水はきれいに抜けていきます。
これを「マスククリア」ーといい、大切な基礎技術ですから、早いうちにマスターしてください。
マスクブローは圧力の平衡をとるために少しの吐き出しでいいですが、マスククリアーの場合は少しづつ連続的に息を出します。
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おでこ側(水面側)のスカートをしっかり押し付けておく。
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鼻から良きを出す。少し上を向くと水がきれいに出る。
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【ウエットスーツの空間】
ウエットスーツは、自分の身体に寸分なくピッタリとしたものを着ます。水に入ると、ウエットスーツと皮膚の間に水が入り、まんべんなく薄い水の膜を作ります。この水膜は体温ですぐに暖められます。ウエットスーツはピッタリしているものを使うのは、この暖まった水を逃がさないためです。
でもウエットスーツを着たとき、膝の裏側に皺ができたままにしていたりすると、皺に空気が残っていてスクイズになり、潜っているときにチリチリと痛んだり、後にみみず腫れになっていることがあります。また股間は水が入りにくいところなので、潜っているときに何となく脚の動きがぎこちなくなることもあります。圧力の影響としては、それほど重大なことではありませんが、ダイビングの快適さをそこねます。
もうひとつ気を付けなければいけないことがあります。それはフードを使用したときです。フードが、耳にぴったりくっついていると、ちょうど耳栓を使ったときと同じ状態になりますので注意してください。
寒い冷たいを、ちょっと我慢して、水に入ったら襟や袖口やフードをめくって水を通し、スーツと身体の間にある空気をあらかじめ出しておけば防ぐことができます。
肺、中耳腔、副鼻腔、歯のスクイズは、所見として私たちには見えないので、どんなものかはイメージするしかありませんが、マスクやスーツのスクイズはあとで見ることができます。
スクイズ(squeeze)は、締め付ける、押しつぶす、しぼる、圧迫する、の意味です。圧力の直接的作用によるスクイズを考えるとき、「しぼり出される」とした方が理解しやすいかもしれません。
水中に潜れば、外圧は身体の内部に伝わります。圧力は高い方から低い方に作用しますから、血液が圧力の低い方へしぼり出されて、充血や腫れの症状が出るのです。圧力差が大きいスクイズでは、出血も伴うのです。
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