さて、ここからが大切なところです。
呼吸動作は外からの刺激や精神的な原因で最も影響を受けやすいもので、びっくりさせられたり、何か不安があったりすると、呼吸がとまったり速くなったりすることは、誰もが経験のあることだと思います。
速い呼吸は、酸素がたっぷりの新鮮な空気を吸っても肺胞に届く前に、吐いてしまうことになってしまいます。スノーケルをくわえただけで、その違和感で速く浅い呼吸になる人がいますが、それは呼吸死腔内の空気を行ったり来たりさせているだけで充分な入れ換え(換気)ができず、体内に二酸化炭素の蓄積を増大させることになってしまいます。
しかしこのようなことは、呼吸の仕方で簡単に防ぐことができるのです。
呼吸は文字通り「吐いて」から「吸う」ことで、「しっかり吐いて」から「吸う」ことに心掛けてください。呼吸のうち、吸息は呼吸筋の引張り作用によって肺を広げ空気を入れ、呼息は引張られた呼吸筋がバネのように元に戻る作用によって行なわれていますが、この作用だけでなくちょっと意識的に吐くことで、呼吸死腔内の空気を充分に換気することができます。
スノーケル呼吸は、「速く浅い呼吸」でなく「ゆっくり深い呼吸」が基本です。これはスクーバでの呼吸にも通じます。 むろん何らかの原因(急いで泳ぐことになったなど)で運動量が大きくなった場合は、必然的に呼吸回数も増えますが、このときも「吸う」ばかりでなく、「意識的に吐いて、吸う」ようにしてください。
初心者の方に多く見られる傾向ですが、「吸ってばかり」いて、そのうち苦しくなってスノーケルをはずしてしまう人がいます。スノーケルをはずしたら、スノーケルの利点は生かされません。
もうひとつ、スノーケルの呼吸で大切なことがあります。マスクを着けると鼻は封じられるので、鼻からは息を吸うことはできません。しかし、鼻から出すことはできます。スノーケルやスクーバでの呼吸は、「口から吸って、口から出す」ですが、「口から吸って、鼻から出す」ことも入念に練習し、その切替もスムーズにできるようになってください。これをマスクブローといいます。
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