スノーケル

【比重と浮力】

 水より比重の大きい物体は沈み、小さい物体は浮きます。また、水中の物体は、この物体が押しのけた水の量の重さに等しい浮力を受けます。お風呂に入ったとき身体が軽くなったように感じるのは浮力によることは、すでにご存知かと思います。

 たいていの人は水に浮かびます。
 人の身体の平均的な比重は0.97で、「身体の97%は、水の中」という浮かび方で、水面上に出る部分はわずかで、息をする鼻と口は水没状態になります。そこで人は手や足を動かし、呼吸するために顔を水面より出さなければなりません。

 要するに人は水の中にあるとき、呼吸するために、手や足を動かし続けなくてはなりません。まして身体の部位でいちばん重たい頭は、水面上に出たとたん浮力が解かれ、沈もうとする力が働くので、これを続けるには体力の消耗を伴います。

  これを解消するため、つまり水面に浮かんだまま呼吸するために考案されたのがスノーケルです。原理的には、長さ40cm位、内径2cm前後のステッキ型のパイプ(管)で、片方をくわえ他方を水面上に出しておくだけで、手足を動かして顔を水面上に出さなくても呼吸ができるのです。

  スノーケルは材質や形状でさまざまなものがありますが、基本的にはパイプ部とマウスピース部とマスクのストラップに接続するパイプ止め(スノーケルホルダー)で構成されます。使用中パイプ内に入った水を抜きやすくする排水弁や、吸入排気孔からの水の侵入を防ぐウオーターレス機能を備えた製品もあります。

 

【ざつがく事典】

 シュノーケル(独 Schnorchel)ともいいます。もともとは潜水艦の通風・排気装置のことで、スノーケルという名はここからきました。
 忍術の水とんの術で、忍者が竹筒で息を吸いながら水中を歩くといった場面がありますが、これは創作であって実際にはこのような術はありませんでした。