【止血法】
出血のファーストエイドは外出血に限ります。圧迫包帯法が多く採用されています。また動脈の出血で圧迫包帯法で止まらないときは止血帯法が用いられます。
[直接圧迫止血法(圧迫包帯法)]
出血部に清潔なガーゼ、ハンカチなどを直接あて、強く圧迫して包帯する方法です。多くの出血はこの方法で止血することができます。しかし、太い血管、特に動脈出血では、この方法では不十分で、大出血をおこして危険を招くので他の方法を施さなければなりません。また、圧迫している包帯がゆるんだときや、この方法で不十分な場合には、血液がにじみ出るばかりでなく垂れて落ちます。この場合には包帯を締めなおすか、他の方法で止血します。
なお、圧迫包帯を施した後は、患部を心臓より高くしたり、冷やすと止血の効果があがります。
[間接圧迫止血法(指圧止血法)]
出血部よりも心臓に近い動脈部に指頭、特に親指を動脈にあてて、骨のあるほうに向かって強く圧迫して止血する方法です。この方法は動脈出血のときに用いられますが、動脈が細いときは直接圧迫止血法で充分です。
突然の出血で、包帯などがない場合の一時的は止血や、動脈出血の場合に直接圧迫法に併用すると効果的です。
この方法は圧迫部位の習得がむずかしいのですが、船に轢かれた場合など、どのようなタイプの出血になるか予想できないので、ダイバーとしては覚えておいたほうがいいでしょう。指圧部位は次のところになります。
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出血部位
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動脈
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指圧部位
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@
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頭部や顔面
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総頚動脈
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鎖骨の中央部より約3〜4cm上部(喉ぼとけの高さのところを、頸椎に向かって押す。
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A
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ひたいや側頭部
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側頭動脈
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外字孔の前、約1cmのところを頭蓋骨に向かって押す。
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B
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あご
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下顎動脈
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下あご中央部を下顎骨に向かって押す。
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C
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上腕部
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鎖骨下動脈
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鎖骨の上部の窪みに親指を入れ、鎖骨の内方向1/3部を第一肋骨に向かって押す。
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D
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前腕部
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上腕動脈
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上腕の内側、上腕二頭筋と上腕三頭筋の間を上腕骨に向かって押す。
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E
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手
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橈(じょう)骨動脈
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脈拍をはかる場所を橈(じょう)骨に向かって押す。
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F
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指
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手の指動脈
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指の付け根を親指と人指し指でつかみ、指骨に向かって押す。
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G
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大腿部
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大腿動脈
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鼠径(そけい)部の中央部を大腿骨骨頭に向かって押す。
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H
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下腿と足部
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膝窩(しっか)動脈
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ひざの裏側にあるくぼみを頚骨(けいこつ)に向かって押す。
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I
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足の指
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足の指動脈
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指の付け根を親指と人指し指でつかみ、指骨に向かって押す。
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