【ポイント】刺胞動物などの生物毒の解熱方法 クラゲ、サンゴ、シロガヤ、イソギンチャクに刺された場合は、傷口に「酢」をかける。酢の作用は、毒針が刺胞から遊離できないようにすること。
【イソギンチャク】……ウデナガウンバチ/スナイソギンチャク/センジュイソギンチャク
【クラゲ】………………アンドンクラゲ/カツオノエボシ/ハブクラゲ
【その他】………………イタアナサンゴモドキ/シロガヤ
紀伊半島以南。
直径25センチほどのイソギンチャク。岩の割れ目の砂の積もった場所で大きく触手を伸ばしている。刺胞の毒は、「ハブ毒の2倍」といわれる。「ウンバチ」とは、沖縄方言で「海蜂」のこと
刺されると、電撃的な疼痛がある。ショックで溺死することもある。やけどのようにヒリヒリする腫れができ、強いかゆみが長時間残る。放置すると潰瘍(かいよう)になることもある。
食用酢をかけ続ける。砂などがついている場合は水道水で洗い流し、決して患部をこすらないこと。病院ではステロイド外用剤を塗り、鎮痛剤を投与。抗生剤、破傷風トキソイドの注射をする。
本州中部以南。
−スナイソギンチャク−
(H.Abe)
触手は48本あって、太い刺胞(=バネ仕掛けの極めて小さな毒の注入装置)のまとまりが、白くぽつぽつと見える。内湾の数mから30mまでの砂地に生息。触手を広げると、40センチほどになる。
触れるとズンとくる痛みを受ける。
不明
沖縄以南の太平洋、インド洋の熱帯域に分布。
クマノミ類が共生する。
手のひらは刺されないが、他の柔らかい部分は触手に触れるとさされ、人によってはミミズ腫れになる。痛がゆい程度だが、一般に触手にふくらみのあるイソギンチャクの毒性は強い。
クラゲ
日本各地、台湾
3センチ前後の小型クラゲ。無色で、触手が箱の四すみから1本ずつのびる。傘は立方形で箱のよう。アンドンクラゲは大量に漂着するので、ひとつ見つけたらすぐ岸に上がるようにする。
刺されると、感電したような強いショックを全身に受け、赤く腫れる。
食用酢をたっぷりかけてから、手で触手を取り除く。必要があれば、病院でステロイド軟膏の塗布や鎮痛剤の投与を受ける。
世界中の暖海に広く分布。
長径10センチほどの気胞体の下に、養体、生殖体、触手などが不規則に垂れ下がっている。長い触手は10本程までに増え、強力な刺胞がある。長さは10mを超すことがある。
触れた直後に強い灼熱痛があり、やがて赤紫色に腫れる。触手に触れたとおりにミミズ状に腫れ、ひどい場合は水ぶくれになる。アレルギー反応によるショックを起こす人もあり、死亡例がある。浜に打ち上げられているものでも、触ると刺されるので注意が必要。さらに、乾燥して飛散したものを鼻から吸い込むと、くしゃみが出っぱなしになることもある。
沖縄近海
直径10センチほどの立法形の体で、四隅からそれぞれ8本の触手がのびる。沖縄の浅瀬で、素潜りなどの際に刺されることが多い。水中では、体は透けて見えにくい。
刺された瞬間に激痛が走る。触手の跡はミミズ腫れになり、その後水膨れができる。12〜18時間で組織の壊死を起こす。重症ではショック死や呼吸停止、心停止を起こす。
食用の酢を患部に30秒間かけ続ける。その後、手で触手を取り除き、シャツやタオルなどで圧迫して毒の広がりを防ぐ。その上から、さらに酢をかけて病院へ搬送する。
奄美以南の太平洋、インド洋の熱帯域の浅海に分布。
群体は大きな板状で、先端部が淡黄色なので簡単に見分けられる。小さな灌木状で、先端部が白い「ホソエダアナサンゴモドキ」も、同様の毒性がある。
手のひらは大丈夫だが、それ以外の皮膚では、ピリピリとした痛みを感じる。
食用酢をかける。患部は手でこすらないこと。
本州北部から小笠原、オーストラリアに分布。
−シロガヤ−
浅い海の大きな岩の表面に付着している。植物のように見えるが、ヒドロ虫の群体。個々の虫は小さく、肉眼では確認できないほど。鳥の羽状で、高さは7〜10センチほど。「クロガヤ」(ハネガヤ科) は、本州中部から九州、ハワイに分布。水深20mまでの岩礁の表面に付着している。群体は暗い色で、草むら状に広がる。
刺されると、痛みを感じる。刺された時の痛みは個人差が大きい。
刺された直後にアンモニア水を塗る。