【いろいろな潜水方式】
[硬式と軟式]
潜水艦や潜水艇は、どんなに深く潜っても、その中にいる人は大気圧のままの圧力環境にいることができます。ですから、潜水艦や潜水艇は、それ自体が水圧によって押しつぶされないように頑丈に作られます。このような潜水を硬式潜水といい、潜る人は大気圧の環境にずっといますので、大気圧潜水ともいっています。
それとは反対に、潜る人がもろに圧力を受ける潜水を軟式潜水といいます。ヘルメット潜水やスクーバ潜水がこれにあたり、潜水というと一般的にはこの軟式潜水のことをさします。潜る人は、いつも自分のいる周りの圧力を受けていますから、環境圧潜水ともいいます。
[送気式と自給気式]
潜水者(ダイバー)が空気(呼吸する気体は空気ばかりでないが)を、船あるいは潜水球(水中エレベーター)(注1)や陸上から、送気管によって受ける方法を送気式潜水です。コンプレッサー(空気圧縮機)、送気管、潜水器で構成され、ダイバーは送器管によって船や陸上とつながっています。船や陸でコンプレッサーを運転したり、ダイバーを見張ったりしてダイバーの支援をする人をテンダーといい、その潜水の管理もします。送気式潜水では、テンダーとダイバーのシステムで潜水がなされます。
ダイバーが使う空気をダイバー自身で持ち、船上あるいは陸上から送気を受けずに潜水する方法です。自ら供給するという意味で、自給式潜水といいます。空気を詰める圧力容器と呼吸器で構成されます。いわゆるスクーバがこれにあたります。一般的には送気式潜水のように、テンダー−ダイバーシステムがとれないので、すべての潜水管理はダイバー自身が行なわなければなりません(注2)。
[開放式と閉鎖式]
呼気のすべて外に捨て去る潜水器を、開放式潜水器といいます。
呼気には、まだまだ酸素が残っています。呼気中の二酸化炭素をキャニスターといわれる二酸化炭素除去装置によって取り除き、酸素を再び送る潜水器があります。呼気を外に捨てずに循環させるので閉鎖式潜水器といいます。開放式と閉鎖式を合わせた半閉鎖式潜水器というものもありますが、閉鎖式と半閉鎖式潜水器は、酸素を使い非常に特殊な潜水に使われるだけで一般的なものではありません。
[定量式と応需式]
定量式潜水は、ヘルメト潜水器のように、空気が途切れることなく連続的に送られてくる方式です。これとは違い、ダイバーが呼吸動作をしたときに、はじめて空気が送られるのを応需式といいます。
[空気式と人工呼吸気体式]
ダイバーが呼吸する気体を、空気としたものを空気式、酸素や窒素やその他の気体を人工的に配合したものを人工呼吸気体式と分けることができます。最近、酸素の配分を人工的に増やしたスクーバも利用されはじめています。酸素と窒素の混合比率を代えたものを、ナイトロックスといいます。
(注1)
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潜水作業深度に到達して、水中エレベーターや潜水艇から水中に出ることをロックアウトといいます。深海潜水で行なわれる方法です。
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(注2)
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ボートダイビング特にドリフトダイビング(ダイバーは潮に流されながら潜水する)の場合は、船に残る者(船長など)がテンダーの役目をするようになる。テンダーがダイバーの泡を見失うとダイバーが行方不明になることがある。
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