酸素中毒

 酸素は、生体にとって欠かせない物質ですが、多すぎるとかえって害をあたえます。生体にとって「過ぎたるは、及ばざるが如し」的な物質です。酸素中毒は以下のふたつのタイプがあります。

[急性型]
 分圧の高い酸素を吸うことによって、脳などの中枢神経が侵されます。症状は急激に現われ意識を失ったり、痙攣を起こしたり、時には死亡します。

[慢性型]
 
比較的分圧の低い(1気圧程度)の酸素を吸う潜水を、長期間続けてると肺が炎症を起こし肺活量の減少をみます。

 しかし、無減圧潜水にの範囲で潜っていれば、一般的なスクーバダイビングでは酸素中毒をそう心配することはありません。

【ご注意】

 このところ見かけなくなりましたが、つい最近まで純酸素を使用した、ごく軽便な閉鎖回路型の呼吸装置が市販されていました、閉鎖回路型というのは、呼気を外部に解放せずキャニスターという二酸化炭素吸収装置で、二酸化炭素吸収し使われなかった酸素をもう一度吸気側に送る潜水器をいいます。純酸素ですから酸素中毒の危険もあり、容量も少ないので突然の酸素切れのときには緊急スイミングアセントも熟練していなければなりません。またキャニスターに水が入ると有毒ガスを発生しますから、軽便といっても、安易に使えるものではありません。
 純酸素の潜水器は、軍事用とか非常に特異な場合に使われるもので、どこの国の海軍、日本の海上自衛隊でもその取扱いには慎重をきしています。

 またこのところ、空気でなく人工的に酸素を増やし窒素を減らした呼吸気体が使われるようになりました。窒素=nitrogen、酸素=oxygen、を合わせてナイトロックス=NITROXといいます。酸素32%窒素68%、酸素36%窒素64%の混合比率のものがあります。
 メリットは、減圧時間の短縮つまり無減圧限界時間の拡張、疲労感の緩和などです。酸素分圧が高いので、これを使用するには酸素中毒のことをしっか勉強してからにしてください。