前述した支援(アシシト)で、事がおさまらない場合、つまりダイバー(バディ等)が、もっと危険な行動を起こしたり、状況になったりしたときの事例を参考までにあげておきます。これはアシストより困難を伴いますので、確かなダイビング技術と、二重遭難にならないように救助者の沈着冷静な対応が要求されます。
ダイバーの状態
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考えられる原因
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レスキュー
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留意点
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過剰ウエート
BCDへの
送気不足 |
コンタクトして沈降を停止させBCDへ送気する、あるいはウエートを外して浮力を確保する。
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BCDへの送気ができないときは、インフレター部と中圧ホースの接続ができていないか、タンクバルブが開いていないと予想される。
タンクバルブが開いていないときは、エアー切れ状態なので、バルブを開くか、オクトパスレギュレータを与えて、相手の呼吸を確保する。
いずれにせよ沈降を素早く停止させないと、窒息、スクイズの可能性もあるし、海底が深いと行方不明になるおそれもある。
いったん浮上して、相手の状態を確認してから次の行動(続行か中止)に移る。
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○
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突発的な浮上(水面への逃避)。この場合、セカンドステージを放棄し、息をこらえてしまうことが多いといわれる。
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さまざまな要因(肉体的あるいは精神的ストレスの蓄積)によるパニック
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肺の過膨張による障害の危険もあるので、急浮上を停止させるためにコンタクトして、連続排気やレギュレーターのリカバリーをうながしたり、オクトパスレギュレーターを与えたりしながら浮上する。
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相手に絡まれる、拘束されるという事態に陥り最も二重遭難のおそれがあるので、慎重かつ確実な対応が要求される。
水面に到達したら両者とも浮力確保する。
落ち着きを取り戻したら、コンタクト(相手を保持あるいは傍にいる)しながら水面移動でエキジットポイントやボートに戻る。
改善しないときは、曳航するか他の応援を要請する。
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かなり深い水深での、
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○
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くわえているセカンドステージやマスクなどを放棄する。
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重度の窒素酔い
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水中でレギュレーターやマスクを放棄すれば、すぐに溺水につながるのでコンタクトしてすばやく浮上する。
本人のレギュレーターあるいはオクトパスレギュレーによってできるだけ呼吸確保できる体制を整える。
場合によっては水面まで緊急スイミングアセント状態で浮上させる。
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救助側も窒素酔いになったダイバーに絡まれる、拘束されるという事態に陥り最も二重遭難の可能性があるので、慎重かつ確実な対応が要求される。
窒素酔いは浅い水深になれば消失して、本人も落ち着きを取り戻すこともあるので呼吸さえを確保すれば、それほどむずかしくなく浮上できる。
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●
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くわえているセカンドステージやマスクなどを放棄する。
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さまざまな要因(肉体的あるいは精神的ストレスの蓄積)による気力喪失
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生命放棄に近いので、いち早く浮上させます。
肺の過膨張による障害の危険もあるので、コンタクトして見極めつつ浮上する。
水面に到達したら、呼吸の有無を確かめる。呼吸がなかったら、急速換気(人工呼吸:マウスツーマウス)をする。
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相手がアシストに応えようとしない場合もあるので、アシストする側は慎重に対処する。
水面に到達したら両者とも浮力確保する。
落ち着きを取り戻したら、コンタクト(相手を保持あるいは傍にいる)しながら水面移動でエキジットポイントやボートに戻る。
急速換気で改善しないときは、人工呼吸を施しながら、水面移動でエキジットポイントやボートに曳航します。また、他の応援を要請する。
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心臓発作などによる意識消失
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いち早く浮上させることが肝要である。
肺の過膨張による障害の危険もあるので、相手を確保して見極めつつ浮上する。
水面に到達したら、呼吸の有無を確かめる。呼吸がなかったら、急速換気(人工呼吸:マウスツーマウス)をする。
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水面に到達したら両者とも浮力確保する。
急速換気で改善しないときは、人工呼吸を施しながら、水面移動でエキジットポイントやボートに曳航します。また、他の応援を要請する。
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