【レギュレーターの種類】
ファーストステージ、セカンドステージとも作動方式による種類があります。レギュレーターはダイバーの命といわれます。少々ややこしいことが書いてありますが、我慢して読んでください。
[ファーストステージの種類]
減圧方式からの分類
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減圧機構からの分類
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外観上の特長
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名称
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特長
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名称
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高圧弁(*)
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特長
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バランス型
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中圧室を設けることによって、中圧は一定に保たれるので、タンクの空気が少なくなっても、安定した呼吸感が得られる。
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ピストン
タイプ
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ダウンストリューム
タイプ
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ファーストステージ内部に水が侵入する。ピストンOリングは定期的な交換を要する。
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減圧部とヨークが直角に位置にある。スィーベルタイプのものが多く、中圧ホースは自在の方向に向けられる。(アンバランス型に比べ高価である。)
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ダイヤフラム
タイプ
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アップストリューム
タイプ
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ファーストステージ内部に水が侵入しないので、寒冷地に適してる。ダイヤフラムと高圧弁を押し上げるポペットピンは定期的な点検を要する。
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ヨークの取りつけ位置に違いはあるが、減圧部とヨークが直角に位置にある。スィーベルタイプのものは稀である。(アンバランス型に比べ高価である。)
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[高圧弁]
(*) ダウンストリュームタイプ……下向弁といって、空気の流れる方向に沿って開く弁です。
アップストリュームタイプ……上向弁といって、空気の流れる方向に逆らって開く弁です。
[セカンドステージの種類]
セカンドステージのデマンド弁もダウンストリュームタイプとアップストリュームタイプ(別名チルトタイプ)があります。アップストリュームタイプは、今では作られていません。
ダウンストリューム弁の特徴は、空気の流れる方向に沿って開く弁なので、何かの原因で中圧が高くなったら空気が出っぱなしになります。空気さえ出れば、後は何とかなります。これをフェールセーフ機構といいます。
しかし、ダウンストリュームの弁は、空気がかってに出てしまうことがあります。タンクにレギュレーターをセットしてタンクバルブを開けると、シューっと空気が漏れていることがあります。これをフリーフローといいますが、原因の多くは、弁シートとオリフィスという空気の出口の当りが悪くなっていたり、使用後よく洗わないなどの手入れ不足によるシオの付着だったりです。これは、更に大きいフリーフローを起こす兆候ですから、調整や点検やオーバーホールが必要です。対処できないほどの潜水中の激しいフリーフローは、熟練したダイバーでも最も恐れることですからレギュレーターの手入れと管理は怠らないことです。
よくあることですが、セカンドステージが故障していなくても、勢いよくフリーフローを起こすことがあります。これもダウンストリューム弁の特徴で、吸気側の流速が速くなると、吸気側の圧力が下がるという気体(流体)の性質、によるものです。これをベンチュリー効果といいます。吸気側が陰圧になるので、ダイヤフラムが勝手に押されてフリーフローをおこします。
タンクにレギュレーターをセットしてタンクバルブを開け、レギュレーターのテストをするためにパージボタンを強く押しているとベンチュリー効果によるフリーフローを誘発します。そのときは、マウスピースから息を吹き込むと止まります。
また、この現象は水面でも起こります。マウスピースが上を向いていると、ダイヤフラムが水圧で押され、勢いよくフリーフローが起こります。このときは、マウスピースを下にして水に入れると止まります。
ボートなどから飛び込んだ瞬間に、パージボタンが押され激しくフリーフローを起こすことがありますから、注意することと対処をしっかり覚えておいてください。
レギュレーターの眼目は、何といっても水中での呼吸が、いかに楽か快適か、というところにあります。
レギュレーターは環境圧に応じた圧力の空気を送ります。ですから、呼吸する空気の密度は必然的に上がります。狭いドアーから多くの人が出ようとしても、いっぺんには出られないように人の流れに抵抗が生じます。それと同じように、レギュレーターから出る空気にも抵抗が生じ、呼吸がしづらくなります。これを呼吸抵抗といいます。深く潜るほど呼吸抵抗が増してきます。
また、空気の流量によっても空気の流れ方(層流とか乱流)が変わり、呼吸抵抗に変化を生じます。
この呼吸抵抗を解消するために、ベンチュリー効果を利用するなど、セカンドステージはいろいろな工夫がなされています。代表的な例をあげておきます。
呼称
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特長
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エアーチャンバ式
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エアーチャンバを設け、中圧を利用することによってスプリングのバネ圧を弱め、圧力差によるデマンド弁の反応をよくしたタイプ。
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バイパスチューブ機構
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オリフィスから出た空気を気室に送る以外に、直接マウスピースに送るバイパスを取りつけたタイプ。
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流量調節機能
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流量調節ノブの付いているタイプ
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【高圧ホースと中圧ホース】
ファーストステージには、高圧と中圧の取りだし孔(ポート)があります。高圧ポートは残圧計(潜水中、タンク内圧力を常に表示する計器)を連結します。中圧ポートはセカンドステージを連結します。といっても直接つけるわけでなく、ホースによって繋ぎます。このホースは、高圧用、中圧用とあって強度が違います最近は、高圧ポートと中圧ポートのネジ径が違うので、間違うことはありませんが注意を要するところです。
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