日本の海

 日本の海は世界中でも最高のダイビングエリアです。そのわけは、日本は海洋の特等席といってもいいほどのところに位置するからです。

 日本列島は、太平洋の北西にあってユーラシア大陸の東側をふちどるように、北海道・本州・、四国・九州の4つの島、そして6千数百の小島が約4,000キロメートルにわたって北東から南西に連なっています。日本は、北はオホーツク海に、東と南は太平洋に、西は日本海と東シナ海に面する島国です。面積あたりの海岸線の長さは他の国にくらべて非常に長く、海岸線総延長距離は約33,800キロメートルにもなります。

 南からは世界の最大海流である暖かい黒潮(日本海流)が、北からは冷たく栄養塩に富む親潮(千島海流)が日本列島を洗っています。このふたつの海流は東北地方の東方沖合いでぶつかり、三陸沖は世界有数の漁場となっているように、日本の海は暖流と寒流の恵みを受け、多種多様の生物相を出現させています。海中には急峻な岩壁や深海に豪快に張り出した岩根もあれば、荒涼たる砂漠を彷彿させる砂地もあって、変化のある景観にとんでいます。

 

 また日本列島は、北海道と青森県の一部は亜寒帯に、屋久島南端あたり以南は亜熱帯に属し、大半は温帯に属しますが、ひとつの国としては、きわめて変化に富んだ贅沢なほどの気候帯にあります。

 このような地球上の位置が海洋の特等席といわれるゆえんで、海の自然において世界で最も恵まれた国なのです。沖縄に代表される南の海はグレートバリアリーフ(オーストラリア)に勝るとも劣らないサンゴ礁を形成し、はたまた北海道では流氷の海も現われ、ダイビングにおいてもさまざまなバリエーションを提供してくれます。

 今では、北海道から沖縄に行くにも飛行機なら半日で行ってしまいます。これほど短時間で3つの気候帯をまたぎ、四季折々それぞれローカル色豊かな海を訪れることができる国は日本しかありません。

 日本のダイバーは、世界で最も多様な環境を持つ海に恵まれているダイバーといえるのです。

 もういちど上の世界地図をご覧になってください。海洋の特等席ということがお分かりになると思います。南方には、ミクロネシアからオーストラリアの海が広がっています。航空機が発達したいま、魅惑的な南の海もひとっ飛びといったところです。本当に、日本は地勢的に恵まれています。