[コンパスナビゲーションの練習]
コンパスを用いて、前記と同じことやります。
コンパスを正確に使えれば、ナチュラルナビゲーションより、どんぴしゃりゴールに入ります。反対にコンパスを正確に使わなかったり、何となく不安でコンパスを信用しなかったりすると大きく外します。
以下のことを念頭においてください。
コンパスの磁針は、傍に磁力を発するものがない限り、南北線(子午線)上に位置します。
基準線(ラバーライン)は進む方向線上に置き、その線上から外れないように真っ直ぐに泳ぎます。
図を参考にしますが、間接読取式コンパスで説明します。
まず左の真っ直ぐ行って真っ直ぐ帰る直線往復です。目標の方向に基準線を合わせます。そのときのN極(磁針北)が、コンパス外周の固定方位盤の目盛を何度指しているか見て、回転ベゼルの溝(インディックスマーク)をN極に合わせます。
例えば60度だとします。基準線とN極の角度60度を保って進めば、真っ直ぐに進んでいます。
コンパスは、コンパスを真上から見ると正確に見ることができます。また円盤型磁針のコンパスは、手前(目側)に窓があります。窓から見える円盤方位盤の度数と、コンパス外周の固定方位盤の度数を同じに示していますから、それを真正面に見て泳ぐこともできます。
泳ぎ進んでいるうちに、N極が溝からずれることもあります。よく手先だけで修正する人がいますが、これはいけません。コンパスの基準線を身体の真っ直ぐな線上(背骨)に合わせ、身体全体で修正します。
所要キック数あるいは時間で20m進んだら止まり、向きを変えます。出発点に戻るには180度向きを転じればいいので、N極が固定方位盤の目盛240度になるまでに向きを変え、インディックスマークを合わせ、240度を外さないよう所要キック数あるいは時間で20m進み止まります。止まったところが出発点であれば、どんぴしゃりで、キック数あるいは時間のデータをもとにした泳ぎ方や、コンパスの保持のし方は、正しかったといえます。
直線往復で真っ直ぐ泳げるようになったら、正方形や三角形を描くように泳いでみます。
磁針はいつも南北にあります。動くのは自分ですから磁針は見掛け上の動きです。方向を右に転じれば磁針は左側に、左に転じれば右側に見掛け上移動します。
時計周り正方形なら、N極を反時計まわりに90度づつ移動させながら、キック数あるいは時間で決めた距離を進みます。
時計周り正三角形なら、反時計まわりに120度づつN極を見掛け上移動させながら、キック数あるいは時間で決めた距離を進みます。正三角形の内角60度なので、磁針を60度移動させればいいと思いがちですが、これをするとまったく別の方向に行ってしまいます。
反時計周りに行くのなら、コンパスは時計まわりの動きになります。
コンパスは始め小さなずれでも、進む距離が長いと先方のずれは大きくなります。自分のコンパスの仕様をよく知り、パターンを変えて何回も練習すると、ぎこちなさも取れてダイビング全体の動作もごく自然に安定し結果もよくなります。
透明度や透視度が悪い水中やナイトダイビングは、水中ナビゲーション技術が最も要求されます。また、初めての海域や情報がない水中に潜るときも、正方形や正三角形のパターンを利用して潜ったほうが、そのときのダイビングにとっても、後にまた訪れるときにとってもより有効になります。
インストラクターのもとで、しっかり練習することが肝要です。
冒頭申し上げましたが、磁針は常に南北線上に位置します。向きを変えるのは自身です。これまで、この関係がなかなか理解できない人が多かったように思います。日常生活で磁石(コンパス)を使うことがなく、しかたないことと思いますが、これを機に磁石の使い方を覚えたり方向感覚を養いましょう。
一連のナビゲーション実習は、ダイビングスキルを上達させます。
潜ることに一生懸命になっていると、なかなかうまくいかなかったことも、コンパスを使うなど他のことをすると、いつの間にか知らず知らずにダイビングのスキルが上達し安定してきます。
自分に合ったキック・呼吸法が身に付き、BC操作にも慣れ中性浮力も上手になります。そして余裕もでてきて海中の視野も広がります。これがナビゲーション実習の効果で丹念に練習しましょう。
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