ナビゲーション

コンパスの種類 方位の読取りと角度の維持 ナビゲーション実習では
ナチュラルナビゲーションの練習 コンパスナビゲーションの練習 ナビゲーション(例)
再び目標物に近づくには ガイドさんにお願いする

 水中の目標物にきちんと到達できたり、海から出る地点に潜ったまますんなりと帰れたりすれば、時間も、空気も、労力も、節約できてこんなに嬉しいことはありません。

 ある地点に到着すると、その向こうに青いベールに包まれた未知の世界があります。青いベールの向こうの世界に、ダイバーの心は誘われます。そしてまたそこに着くと、そのまた先に未知の世界が待っています。そしてまた・・・。

 見えないものを、そばで見たい、人に共通する心理でしょう。水中は空気中のようにもともと視界がありませんから、次々に未知が現れそれに誘われます。これもダイビングの魅力ですが、そうこうしているうちに、自分の位置や来た方角が分からなくなってしまうこともあります。

 これでは、エキジット地点から遠いところに浮上して、帰るのに水面移動の辛苦を味わうことにもなりかねません。スクーバダイビングは自由度があるぶん、こんな落とし穴もかかえています。海洋実習でインストラクターが、海に入った地点へピシャリと戻るのに驚いた方もいると思います。インストラクターは、その海に数多く潜っているのでよく知っているだけだとお思いになるでしょうが、インストラクターは人知れず方向をチェックしています。

 方向を定めながら進むことをナビゲーションといい、由来はnavigate(航海する)にあって、まさしくダイバーは海中を航海するのです。航海は天測から始まり、羅針盤いわゆるコンパス、ロラン、GPS(global positioning system)と進歩し、今では羅針盤を取り外した艦船もあるそうです。

 最近はGPS流行りで、登山はもちろん自動車から携帯電話まで日常的に利用されていますが、電波なので残念ながら水中では使えません。そこでダイバーのナビゲーションのマテリアルは唯一コンパスになるのです。

 普段の生活でコンパスを使うことはないですが、コンパスを使い原始的かつ基本的な方向感覚を呼びおこすということを考えれば、ダイビングはその意味でも価値のある活動といえます。

 

【コンパスの種類】

直接読取式
コンパスカード型

間接読取式針型

間接読取式
コンパスカード型

 コンパスには、磁針・方位目盛板・回転ベゼル・基準線の基本要素があります。

 読取方式として直接読取式(直読式)間接読取式、磁針の形は針型コンパスカード(円盤)型があります。スクーバダイビング用として市販されているコンパスの仕様は、だいたい下表の通りです。
     

読取り方式

基本要素

磁針の型

概要

直接読取式

磁針

コンパスカード型

コンパスカードは羅針面のことで、磁針といっしょに回転します。時計周りに360度刻んであります。コンパス手前の窓から見たとき、回転ベゼルの方位と同じになるように、360度目盛はNを180度・Sを0度にしています。

方位目盛版

回転ベゼル

方位目盛が時計周りに360度刻んであり、回転ベゼルの0度と180度にマーカーが付けてあります。見分けしやすいように0度マーカーを2本線にしたりしています。ここでは、このマーカーを主マーカーといっておきます。

基準線

ラバーラインともいい、コンパス中央に引かれダイバーの進行方向になります。

 

間接読取式

 

磁針

針型

南北を指す針で、カバー表面ガラスに12方位刻んであります。

コンパスカード型

直接読取式と同じです。

固定方位
目盛盤

針型

コンパス外周ケース上に、反時計周りに360度刻んであります。

間接読取式

回転ベゼル

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マーカー用の溝が、回転ベゼルの直径線上にふたつ切ってあり、見分けしやすいように、片方のマーカーに蛍光塗料などが塗ってあります。ここでは、このマーカーを主マーカーといっておきます。

基準線

---

直接読取式と同じですが、小型のコンパスにはないものもあります。

 

【方位の読取りと角度の維持】

 基準線はダイバーの進行方向ですから、身体に真っ直ぐの線上に置きます。イメージとして背骨の平行線上です。磁針は常に南北線(子午線)上のありますから、基準線と磁針の角度が常に同じなら真っ直ぐ進んでいます。

 例えば、基準線とN極(磁針北)の角度が右に30度だったとします。

 直接読取式だったら、コンパスカードのN極に、回転ベゼルの主(0度)マーカーを合わせます。基準線進行方向先端は回転ベゼルの330度を指します。つまり方位330度に進行するということになります。

 間接読取式だったら、針型でもコンパスカード型でも、N極は固定方位盤の330度を指しています。ここに回転ベゼルの主マーカーをあわせます。これで方位330度に進行するということになります。

 つまり、直接読取式は回転ベゼルの目盛で、間接読取式は固定方位盤目盛を読むということになります。

 直接読取式なら、N極に回転ベゼルの主(0度)マーカーに、

 間接読取式なら、回転ベゼルの主マーカーをN極に、

合わせ、基準線とN極の角度30度を保っていれば、つまりN極が回転ベゼルの主マーカーから外れないように進めば、真っ直ぐ進行していることになります。

 次に、来た道をそのまま帰るとします。方向を180度転じればいいわけですから、方位150度に進みます。

 直接読取式なら、
 回転ベゼルをまわして、主マーカーが180度にくるまで身体をまわすか、
 回転ベゼルをまわして、基準線進行方向先端を150度にあわせ、N極と主(0度)マーカーが合わさるまで身体を回転させるか、
します。
 いずれにせよ、基準線進行方向先端は回転ベゼル150度を示します。

 間接読取式なら、
 回転ベゼルをまわして、主マーカーを、330度の反対150度に合わせ、N極が主マーカーにくるまで身体をまわすか、
 先に、反対のマーカーにN極がくるまで身体をまわし、後に主マーカーを150度に合わせるか、
します。

 自分のコンパスの読取方式を知り、直接読取式も間接読取り式も、回転ベゼルのマーカーを主体に使うか、N極S極を主体にして使うか、自分のやりやすいほうに慣れることです。

 

【ナビゲーション実習では】

 ナビゲーションを習得するためには、やはり正規な海洋実習を受けなければなりません。インストラクターのもとへ行きましょう。この実習は、一般的にアドバンスドダイバー課程のひとつの課題とされています。ここでは、ナビゲーション実習のひとつの例を紹介しておきます。

 海洋実習では、インストラクターはまず受講者のデータ作りをします。そのためにインストラクターは、受講者が波や流れの影響を受けない穏やかな海底に、50〜100mのロープあるいはメジャーを設置します。ロープには基点から距離10m毎にマークが付けられています。

 受講者は、ロープの距離(50〜100m)を一定の水深を保ちながら、自己のペースで何度か往復します。そして片道に必要なキック数と時間を計ります。何回もするのは、潜り泳いでいるうちにペースが落ち着きデータも安定してくるからです。

 データが得られたら整理をします。例えば距離100mとすると、

 100m/100mに要したキック数=1キックの進む距離(キックの数え方は、各々が数えやすい方法で)

 100m/100mに要した時間(分)=1分間に進む距離

を、自分の基本データ(注1)とします。

注1

このとき残圧計の項にありました自分の空気消費量のデータもとっておくと、何かに付け役に立ちます。

 

[ナチュラルナビゲーションの練習]

 まず、ロープのある目印を基点として、真っ直ぐ行って真っ直ぐ帰ってくる直線往復の練習です。20m進んで帰ってくることにします。

 データから100mのキック数・時間の5分の1が、20mの所要キック数あるいは時間になります。所要のキック数あるいは時間で止まり、来た方向に転じ同じキック数あるいは時間を泳ぎ止まります。そこでロープに到達しているか出発点の目印からずれたか、を確認します。

 目印からずれた人は、方向の転じかたが悪かったのかも知れません。左右のキック力が大きく違っていたかも知れませんが、何回かやっているうちにだんだん修正されてきます。でも、左右のキック力の違いは、自分の癖として知っておきましょう。

 次に20mを一辺とした正方形を描くように泳ぎます。キック数や時間は直線往復と同じです。

 例えば出発点がロープの目印30mのところとして、ロープに対して直角に泳ぎだします。20mの所要キック数あるいは時間のところで止まります。そこで直角に向きを変えて泳ぎだし、再び20mの所要キック数あるいは時間のところで止まり、三度おなじことをします。いま正方形を描く向きは指定していませんから、10mあるいは50mのマークに到着すれば、向きの変え方が正しかったことになります。

 正方形ばかりでなく正三角形も描いてみます。

 このようにして、データをもとに距離感覚をつかみ、方向を転じるときの身体の振らす勘を養います。

 

[コンパスナビゲーションの練習]

 コンパスを用いて、前記と同じことやります。

 コンパスを正確に使えれば、ナチュラルナビゲーションより、どんぴしゃりゴールに入ります。反対にコンパスを正確に使わなかったり、何となく不安でコンパスを信用しなかったりすると大きく外します。

 以下のことを念頭においてください。

 コンパスの磁針は、傍に磁力を発するものがない限り、南北線(子午線)上に位置します。

 基準線(ラバーライン)は進む方向線上に置き、その線上から外れないように真っ直ぐに泳ぎます。

 図を参考にしますが、間接読取式コンパスで説明します。

 まず左の真っ直ぐ行って真っ直ぐ帰る直線往復です。目標の方向に基準線を合わせます。そのときのN極(磁針北)が、コンパス外周の固定方位盤の目盛を何度指しているか見て、回転ベゼルの溝(インディックスマーク)をN極に合わせます。

 例えば60度だとします。基準線とN極の角度60度を保って進めば、真っ直ぐに進んでいます。

 コンパスは、コンパスを真上から見ると正確に見ることができます。また円盤型磁針のコンパスは、手前(目側)に窓があります。窓から見える円盤方位盤の度数と、コンパス外周の固定方位盤の度数を同じに示していますから、それを真正面に見て泳ぐこともできます。

 泳ぎ進んでいるうちに、N極が溝からずれることもあります。よく手先だけで修正する人がいますが、これはいけません。コンパスの基準線を身体の真っ直ぐな線上(背骨)に合わせ、身体全体で修正します。

 所要キック数あるいは時間で20m進んだら止まり、向きを変えます。出発点に戻るには180度向きを転じればいいので、N極が固定方位盤の目盛240度になるまでに向きを変え、インディックスマークを合わせ、240度を外さないよう所要キック数あるいは時間で20m進み止まります。止まったところが出発点であれば、どんぴしゃりで、キック数あるいは時間のデータをもとにした泳ぎ方やコンパスの保持のし方は、正しかったといえます。

 直線往復で真っ直ぐ泳げるようになったら、正方形や三角形を描くように泳いでみます。

 磁針はいつも南北にあります。動くのは自分ですから磁針は見掛け上の動きです。方向を右に転じれば磁針は左側に、左に転じれば右側に見掛け上移動します。

 時計周り正方形なら、N極を反時計まわりに90度づつ移動させながら、キック数あるいは時間で決めた距離を進みます。

 時計周り正三角形なら、反時計まわりに120度づつN極を見掛け上移動させながら、キック数あるいは時間で決めた距離を進みます。正三角形の内角60度なので、磁針を60度移動させればいいと思いがちですが、これをするとまったく別の方向に行ってしまいます。

 反時計周りに行くのなら、コンパスは時計まわりの動きになります。

 コンパスは始め小さなずれでも、進む距離が長いと先方のずれは大きくなります。自分のコンパスの仕様をよく知り、パターンを変えて何回も練習すると、ぎこちなさも取れてダイビング全体の動作もごく自然に安定し結果もよくなります。

 透明度や透視度が悪い水中やナイトダイビングは、水中ナビゲーション技術が最も要求されます。また、初めての海域や情報がない水中に潜るときも、正方形や正三角形のパターンを利用して潜ったほうが、そのときのダイビングにとっても、後にまた訪れるときにとってもより有効になります。

 インストラクターのもとで、しっかり練習することが肝要です。

 冒頭申し上げましたが、磁針は常に南北線上に位置します。向きを変えるのは自身です。これまで、この関係がなかなか理解できない人が多かったように思います。日常生活で磁石(コンパス)を使うことがなく、しかたないことと思いますが、これを機に磁石の使い方を覚えたり方向感覚を養いましょう。

 一連のナビゲーション実習は、ダイビングスキルを上達させます。

 潜ることに一生懸命になっていると、なかなかうまくいかなかったことも、コンパスを使うなど他のことをすると、いつの間にか知らず知らずにダイビングのスキルが上達し安定してきます。

 自分に合ったキック・呼吸法が身に付き、BC操作にも慣れ中性浮力も上手になります。そして余裕もでてきて海中の視野も広がります。これがナビゲーション実習の効果で丹念に練習しましょう。 

 

【ナビゲーション:いくつかの例】

 潮の流れがあれば、コンパス通り進んでいてもダイバーは、押されたり、抵抗を受けたり、また横に流されたりして、速度や進行するラインや方向が変わりします(注2)。これがナビゲーションをむずかしくします。実習で得たデータやコンパスの見方はナビゲーシィンの基本となるものですから、常にれを念頭にダイビングを展開します。

 その上あらかじめ、直線あるいは四角形や三角形コースにかなどコースを決めたり、そのつど地形や水深や目立つものを利用したりしてダイバーは水中を航海します。

 波長の約半分の深さで波の影響はなくなりますから、波の影響がでる水深までは、ゆったり水中移動したほうが水面移動より効率的です。こんなところに、エキジット地点になるべく潜ったまま近づくという、水中ナビゲーションのひとつ目的があります。

 といっても、ピンポイント的に厳密になることもありません。水面移動も少しはあっても当然です。ダイビングフラッグのルールから見れば、エキジット地点から半径30mが帰還エリアとしてもいいでしょう。

 水中ナビゲーションは、データや、地形や、水深や、目立つもの、を駆使して総合的に展開します。

 地形などを利用する例をいくつか紹介します。最も一般的なエントリー地点とエキジット地点が同一なダイビングですが、ビーチダイビング・ボートダイビングにかかわらず、陸側と海側の方位をあらかじめコンパスであたっておくことが肝要です。
     

1.

 ダイバーが到達できる深さで、岩壁や岩場帯が砂地と分かれている海底は、岩場と砂地のコンタクトライン沿いに、あるいはコンタクトラインを常に意識して潜っていると迷うことは少ないです。帰路コンタクトライン上の基点を見落とすと、通り過ぎてしまいます。基点周辺の特徴目標物を覚えておくことが大切ですが、コンタクトライン上の基点の水深が大きな鍵になります。
 このかたちは、ビーチダイビングのときが多く、海岸のエントリー地点とコンタクトライン上の基点間は、コンパスで角度をあたり直線往復にしたり、海中の目標物(大きな岩など)をおさえたりします。

 

 

2.

 海中に張り出した根に沿って潜る場合は、根から離れなければ単に行って帰るだけで簡単です。根を越したときは、自分が根のどちら側にいるかをきちんと把握します。根から離れるときは、コンパスで方向を確かめます。適当にするとと根に戻れなくなることもあります。

 

 

3.

 遠浅さのだだっ広い砂地の海底は迷いやすいところです。小さな岩があってもどれもこれも同じように見えて、確かな目標だったか自信が持てないこともあります。このような海域では、ナビゲーション実習で行った四角形や三角形のコース取りをあらかじめ決めておくことが役に立ちます。
 海岸が湾曲している砂地には、波紋に似た砂の起伏が幾重にも続いています。砂紋といい波によって作られます(急傾斜の砂地には見られない)。砂紋は、海岸に平行にできますから、砂紋に対してに角度(一般的には直角)をとって進みます。そのとき水深をあたって、深くなっていけば沖へ、浅くなれば岸へ向かっていることになります。砂紋の間隔は、海岸に近づくほど狭まってきますから状況を見計らって浮上します。

 

 

4.

 大きな岩根が入り組んでいる海域は最も難しいところです。水中の景観は、どれもこれも同じに見えることもあります。入り江をひとつ間違えただけで、まったく様相の違うところに出てしまいましす。こうなると岩根を迂回しなければなりません。エアーを使い果たしていれば水面移動を強いられますし、波が被っていればことさら辛苦を味わいます。このような海では、正確なコンパスワークが求められ、顕著な目標物をひとつ一つ丹念に記憶する必要があります。目標物も行きと帰りでは、まったく別なものに見えますから、越したあと振り返って確認するくらいの慎重さも求められます。

 

 

5.

 ボートダイビングで砂地にアンカリングしたときは、アンカーが掛かっているところが基点になります。その周辺の特徴や目標物や水深を覚えておき、3と同じように四角形や三角形のコース取りを決めておくと失敗は少ないようです。潮の流れがあるときは、潮の上に向かいます。潮の下に行くと、帰りがやっかいなことになります。

 

 

6.

 ボートダイビングのポイントに多くあることですが、深い海底から切り立っている岩壁やサンゴ礁の壁のところ(ドロップオフといいます)は、壁が素晴らしい景観のポイントになります。このような場所は、壁沿いに行って帰れば基点に戻れますが、1と同様基点を見過ごさないように、周辺の特徴目標物水深を覚えておくことが大切です。もちろん、引き返すのに充分な残圧でUターンします。ボートダイビングは、アンカーやアンカーロープや船底の影などが大きな目印になります。

 以上いくつか例を紹介しましたが、ナビゲーションはさまざまな要素を組み立てます。水中は陸上から見えませんし、透明度や透視度がある海でも、日射量や深さによりますが、50m先のものがはっきり認識できるほど見えることはありません。

 反対に、水面に出たら荒天で、エキジット地点が見えなかったり、ボートのテンダーからもダイバーを確認できないこともあります。上は荒天でも水中は晴天といえる状況もあります。

 方向感覚は動物の本能的感覚ですが、人はいつの間にかそれをどこかに置き忘れてしまいました。生身(軟式潜水)で潜るスクーバダイビングの行動範囲は、地球規模からすれば針の一点よりはるかに小さいものですが、水中という環境は砂漠で行って帰ってこい、といわれるのに匹敵するといってもいいでしょう。

 過ぎたきらいはありますが、人は情報行動の動物です。もともと人は水中行動の本能は持っていませんから、ダイバーは水中のあらゆる情報を感知して行動するのです。スクーバは水中の生命維持装置ですが、水中ナビゲーション技術はダイバーの最も人間らしい基本的な情報行動技術なのです。

 おおいにナビゲーション技術を生かすことは大切ですが、いかんせん、迷ったなと思ったら、早いうちに素直に浮上して方向を確かめることが肝要です。水中でうろうろしていると、潜水時間やエアーを無駄にするだけです。方向が確かめられ、潜水時間とエアーに余力があれば、再び潜ってゆったりと帰ることができます。

注2

潮の流れが感じられたり、透明度が悪いときは海底を這うように、いわゆる匍匐(ほふく)前進で行ったほうがナビゲーションがしやすくなります。、海底の砂や泥を舞い上がらせないように気づかうことが大切です。

 

【再び目標物に近づくには】

 最近は、ほとんどのダイビング地では、丁寧に方位まで記入した水中マップを配布してくれます。またダイビングポイントによっては、海底にガイドロープを敷設しているところもあります。これらに従っていれば、迷うことなく目標に近づき帰って来られます。

 しかし、こういう環境でないところでダイビングして、どうしても再び訪れたい目標ができたとします。この場合は、ピンポイントで当てなければなりません。こういうときは、いったん浮上して山立てをする、といわれますが、実際は至難の技です。流れがあれば水面に出たところの真下が目標という保証はありません。探検的潜水では、フロートなどを設置しますが一般的なダイビングでは現実的ではありません。

 この場合は、発見した目標物を基点にして戻り、第二基点はエントシー地点からわかりやすいところへおきます。コンパスで、目標物と第二基点の方位をおさえておけば失敗は少ないです。このとき欲張って基点をたくさん作ると、失敗することも多くなります。

 

【ガイドさんにお願いする】

 水中ナビゲーションは難しいものです。同じポイントに何度も潜っていても迷うことがあります。自信のない人や確実に訪れたいポイントがある人は、そのポイントに精通しているガイドさんにお願いするのが一番です。