軟体動物門
危険な「軟体動物

【頭足類】………………ヒョウモンダコ

【貝類】…………………アンボイナオオジャコ

 
ヒョウモンダコ【blue ringed octopus】(マダコ科)
 

 模湾以南のサンゴ礁に多く見られ、インド洋やオーストラリア海域にも分布する。

(H.Abe)

−ヒョウモンダコ− (H.Abe)

 タコ類の中では小さく、体長12センチほど。体表と腕足に、コバルトブルーの輪紋や糸状紋があるのが特徴。体表は顆粒状でとげとげしく、目の上のとげが目立つ。他のタコ類と違って、スミを吐かない。タコ類は一般にくちばしで獲物にかみつくときに唾液腺から毒液を注入する。普通のタコの毒はカニやエビを麻痺させるのにしか役立たないが、ヒョウモンダコの毒は人間にも効いてしまう。

 かみ傷は小さく痛みは感じないが、赤く腫れてくる。猛毒のテトロドトキシンによって激しい中毒症状を起こす。はじめは口や首あたりからしびれ感が始まり、吐き気、息苦しさ、視覚障害、運動失調、筋肉の麻痺から呼吸停止に至る。口の渇き、嘔吐、運動失調、衰弱。10〜15分で呼吸不全に陥る。けいれん、意識不明の後、死亡する。直接の死因は呼吸マヒで、オーストラリアの例では、2時間で死亡している。

 人工呼吸または心肺蘇生術を施し、傷口を洗う。腕や足をかまれた場合には、シャツやタオルできつく縛って、毒が回るのを防ぐ。患者は動かさず、医療施設へ運ぶ。

 
アンボイナ】(イモガイ科)
 

 紀伊半島以南に多い。

−タガヤサンミナシ−

  

−マガキガイ−

(H.Abe)

 沖縄では「ハブガイ」とも呼ばれる。吻(ふん)の先から毒銛(もり)を打ち込む。素手で持ち歩いたり、網袋に入れて腰につるすのは最も危険。毒の強い種は、アンボイナ以外では、シロアンボイナ、タガヤサンミナシ、ツボイモ、ニシキミナシ。

 手を刺されることが多く、刺されてもほとんど痛みはないので要注意。周囲には紅斑ができ、強い灼熱痛がある場合もある。手足のしびれ感から、全身の随意筋マヒ、やがて意識不明となって、呼吸マヒにより死亡する。通常6時間以内に死亡し、アンボイナの場合、致死率は70%弱。幸い助かる時には、24時間以内に主症状は消える。

 特殊な治療法はない。刺された位置が分かっている場合は、少し切開して毒を吸い出し、その後、シャツやタオルで縛って圧迫する。心停止や呼吸停止の場合は、人工呼吸と心臓マッサージを行いながら病院へ搬送する。

 
 
オオジャコ】(シャコガイ科)
 

 奄美諸島以南の暖海に広く分布。

  

−オオジャコカイ−

 世界最大の二枚貝。殻と殻の合わせ目は、大きく波立っている。

 殻長が1mにもなり、うっかり足を突っ込むと抜けなくなる。ダイバーによる事故例がある。

 貝柱を断ち切って開口させるしかない。