【波の発生と消滅】
海や湖の波は、そのほとんどが風によって起こります。静かな海面に風が吹き始めると、最初はさざ波が生じ(注1)、さらに、風が吹き続けると、次第に大きな波が現れるようになります(注2)。このように、その海域で吹いている風によって起こされた波を風浪といいます。風速に変化がなければ、波はどこまでも大きくなるわけではなく、その風速に応じたある一定の大きさになっていきます。
このようにして発生し発達した波は、風の吹いていない海域にも伝わっていきます。波のうちでも周期の短い波は、水の粘性や逆風による抵抗で、急速にエネルギーを失います。長い周期をもった波は、ほとんど衰えないで数千キロメートルを伝わります。風の吹いている海域から離れて伝わっていく波や、風が止んだのちに残っている波をうねりといいます。
風浪は、波長が短く、峰が尖っている波で、波頭がくだけたのが白波です。
うねりは、峰が丸く、波長の長い波です。
風浪やうねりが、海岸に近づくと、海底の影響を受けて波が変形しはじめます。水深が浅くなるにつれて、最初は波長がすこし長く、波高も低くなりますが、さらに浅いところにくると、波長は短く、波高は高くなって、波形は険しくなり、やがて砕けます(注3)。この砕け波が磯波です。波は、ここでエネルギーを失いますが、断末魔の叫びというか、磯波は大きな力(破壊力)を持っています。
こうして風によって起きる波、風浪、うねり、磯波をまとめて波浪といっています。
海に入る方法には、岸から入る、ダイビング船などのボートから入る、の二通りあり、前者をビーチダイビング、後者をボートダイビングといっています。どちらにしても通常、まず風と波で判断しています。特にビーチダイビングの場合は、この磯波が問題となります。つまり磯波を見て、ダイビングをするかしないか、するとすればどう対処するか、の判断が重要になります。
整備されたダイビングスポットでは、そこでダイビングサービスを営む人々や漁業協同組合の人などが、事故防止のために海況を判断してくれていますが、あくまでも、「この海況は自分にとってどうか」で、自身の判断によります。
(注1):
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表面張力:表面張力が主な復元力として働く水面波です。水深の深い水域の表面では、波長が1.7センチメートル以下の波がこれに当たります。
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(注2):
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重力が復元力としてはたらく波で、水深の深い水の表面では波長が1.7センチメートル以上の波がこれに当たります。いわゆる、波として見えるものがこれです。
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(注3):
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波は、波高の2倍の水深のところにきたときに、波は最大高さとなります。さらに、波高の1.3倍の水深のところに来ると、前にころぶように崩れていきます。沖で崩れている波があれば、そこは海中に没している岩(カクレ根)があることや、浅くなっているところ、というように知るこtができます。
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