空気の組成と分圧

【空気の組成】

 私たちは、空気を吸って生きています。空気は数種類の気体が一定の割合で混ざったものですが、ほとんどが窒素(N)と酸素(O)です。

 

窒素
(N2

酸素
(O2

二酸化炭素
(CO2

容積(%)

78.03

20.99

0.03

 一般には、窒素は79%あるいは80%、酸素は21%あるいは20%として、説明されます。

【分圧】

 空気1気圧のうち、窒素の圧力が約80%、酸素の圧力が約20%、ということになります。空気を構成する窒素および酸素それぞれの圧力を分圧といいます。

空気

窒素分圧(PN

酸素分圧(PO

1気圧(1atm)

0.8気圧

0.2気圧

760mmHg

608mmHg

152mmHg

 

【気体の性質】

 酸素は呼吸によって体内に取り入れられ、血液によって各器官に供給され、頭脳の活動に使われたり、運動のエネルギーとして消費されます。その結果、二酸化炭素になり血液を介して肺から呼気によって対外に排出されます。酸素のように代謝によって、二酸化炭素に変わる気体を活性ガスといいます。また、空気の中で大きな割合を占める窒素は、体内に取り入れられても別の物質に変わらないので不活性ガスといいます(注2)

[窒素]
 
分圧が高くなると麻酔作用を起こし、また身体の組織に溶けこみ減圧症の原因となります。スキンダイビングではあまり問題になりませんが、スクーバダイビングでは窒素への認識を高めておかねばなりません。

[酸素]
 
酸素は生物の生存に欠かせません。酸素が不足すると一瞬にして気を失います(ブラックアウト)。スキンダイビングでは、このことをよく知っておかねばなりません。

 逆に酸素の分圧が高くなると、中毒を起こします。スクーバダイビングで最近よく用いられるナイトロックス(酸素濃度を高くした潜水用混合ガス)を使用する際には、酸素中毒ということも知っておかねばなりません。

[二酸化炭素(炭酸ガス)]
 
二酸化炭素は、生体細胞内でのエネルギー放出の最終的な産物として作り出され、呼吸中枢を刺激して呼吸をうながすトリガー(引金)の役目をしています。空気中の二酸化炭素の濃度が高かったりすると、頭痛、意識障害などの中毒作用を起こします。 

 
【ざつがく事典】

 今の空気の混合は
 地球が誕生してからの原始大気は、二酸化炭素、ちっ素、二酸化イオウなどばかりで酸素はありませんでした。中でも二酸化炭素は96%を占めていました。約38〜40億年前に海が誕生し、やがて生命が生まれました。35億年前、海の中ではラン藻植物が発達し光合成をすることによって酸素が放出されはじめました。
 また、二酸化炭素はたいへん水に溶けやすいため、原始大気中の二酸化炭素は大量に海に溶けこみ、カルシウムやマグネシウムと結合して炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどになり、海底に沈殿して岩石となりました。また、炭酸カルシウムはイソギンチャクによって石灰質の外骨格としてサンゴのまわりに固定されていきました。
 このようにして酸素が放出され、二酸化炭素が吸収され、3〜10億年前に現在の空気の混合比率になったそうです。