【寒さから身を守る】
まず最初は、ウエットスーツ、フード、ブーツ、グローブを着け外界への放熱を防ぐことでした。しかし、そうしてもいずれ身体は冷えてきます。いくらダイバーでも、震えがきて更に動けなくなるまで、自らの意思で海に入っている人はいないと思います。誰でも寒くなれば、その場から避難するので、ダイビング活動中で重篤な低体温症にはならないと思いますが、寒いと感じたら、震えがきたら、それは低体温症のシグナルですから、海中世界に後ろ髪を引かれようとも、海から上がることが大切です。
寒いとせっかくのダイビングも印象が悪くなります。潜水服で外側を守るのも大事ですが、内からの熱生産や体温の温存ということも考えておきましょう。
お腹が空いていたり疲れていたりすれば、速く寒くなることは日常生活で誰しもが経験したと想います。潜るからといって食事を制限する人もいますが、自動車に燃料を補給しないようなものですので、これはよくありません。運動する前には、すぐにエネルギーになる炭水化物(米飯など糖質食品)が有効といわれます。しっかり食事をとることが、快適なダイビングをするひとつの要素です。
また、浜辺で寒風にさらされたり、夏や南の暖かい海でも船に乗って風にあたっていると体温はみるみる奪われます。特に、海から出た後のウエットスーツは気化熱によって激しく体温を奪いますから、防風衣を着るなり、乾いたものに着替えるなりしてください。体温の温存を怠るとけっこう消耗して、ダイビング中に急に寒くなることがあります。
海や湖の水温は、水面から底まで同じ温度ということはなく、深くなれば下がっていきます。特に夏場は、水面と水中の温度の差が大きくなります。水面および水面からちょっと下がったところは、日射によって温かく泳ぐには快適な水温でも、潜って行くと急激に水温が低くなる境目(サーモクライン)があります。冷水をいきなり浴びせられたことと同じで、ショックを起こすことがあります。
ダイビングでは、ウエットスーツやドライスーツの着用を励行してください。
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