副鼻腔

 頭蓋骨の顔面側には、鼻腔のほかに骨の中に陥没したような空洞があります。これらを総称して副鼻腔といいます。前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞とよばれるものがあり、細い管によって鼻腔に通じ常に開放しています。ここが中耳腔と違っているところです。

  しかし、風邪を引いたりして鼻が炎症を起こし、この細い管がふさがってしまうと、副鼻腔は閉鎖空間となってしまいます。このような状態で潜ればスクイズが襲います。経験ですが、頭を何千本もの針で押さえつけられたような痛み、頭が割れてしまうような痛みに襲われたことがあります。とても潜るどころではありませんでした。

  鼻血を出していることもありますが、一般に副鼻腔のスクイズは重篤ではありません。しかし、耳抜きで何とかかんとか、圧平衡をとりその場をしのいでも、副鼻腔の炎症がひどくなり後に長引かせることになります。

 予防は、いつも良好な身体のコンディションでダイビングすることが大切です。海行きの楽しさのあまり、宵っ張りで寝不足になったり、ついつい飲みすぎたりするのが人情ですが、副鼻腔の腫れが残っているときがあるので、ほどほどにが肝要です。

 耳抜きのでき具合や、副鼻腔の通りがどうしても悪い人は、一度お医者さんにかかって耳管通気をしたり、鼻中隔の彎曲があるか調べるようにしてください。

 

【ざつがく事典】

 耳は脳に近いところにあるので、外界からの細菌などの侵入を防がなければなりません。そこで耳管は人体形成途上で、いつも閉じている状態になったといわれます。
 副鼻腔は、人類が二足歩行に移ったとき、背骨で重い頭を支えなければならないので、頭を少しでも軽くするために、できていったといわれます。蝶形骨洞は動眼神経などに接してはいますが、後ろはガランドウです。