光の吸収と散乱

 透明な海水や澄んだ湖水は青く見えます。これは、水による光の吸収と散乱によるものです。太陽光線は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色の光が集まったものです。光は電波と同じ種類の波なので、赤から紫までの色はそれぞれ波長があり、波長は赤の方が長く、紫の方は短くなっています。

 波長は次のような性質を持っています。
波長の長い光は、吸収されやすく、散乱されにくい。
波長の短い光は、吸収されにくく、散乱されやすい

 水中に入った光は、赤の方から吸収され青の方が残っていきます。また青はよく散乱するので全体に青く見えてくるのです。従って、水の中では青のフィルターを通して見ているのとおなじで、実際の色(空気中でみる色)とは違ってきます。特に赤色の変化は大きく真っ赤な鯛でも海の中では灰色がかって見えます。

 大気中で最も見える色は黄色(波長555nm)です。水中できわだって見える色は白と黄色ですが、距離が長くなるにしたがって白は青味がかり、黄色は緑がかってきます。水中をいちばんよく透過する光は緑に近い青い光(波長480nm)ですから、青色が水中では最も遠くまで見えるということになりますが、まわりの色と同系色になるので識別がつきにくくなります。

  海にふりそそぐ太陽光線の約95%が海中に入り5%が反射します。海に入った光は、プランクトンなどの生物やさまざまな浮遊物による反射で約0.5%は大気中に出ますが、全体的には海の深い所に向って進みます。光が海水中を進むに従って、水に吸収されるので、深くなればなるほど海中は暗くなります。