【パワーを生む、フィンの要素】
フィンキックは、バタ足キックより5倍も効率があるといいます。いったい、そのパワーはどこからくるのでしょうか。
フィンキックの基本は、あおり足、英名でフラッターキック(Flutter Kick)という動作です。Flutterは、羽ばたきする、バタバタする、とかの意味で、空飛ぶ鳥は、羽を胴体の付け根から動かしています。フィンキックも、脚の付け根から動かすのが基本的な動作なので、このようにいわれます。そのほか、はさみ足、ドルフィンキックなどありますが、どれも、水の抵抗力を、いかにして大きい水平分力に変えるか、がポイントになります。
フィンを蹴り上げるときをアップストローク、蹴り下げるときをダウンストロークといいます。
フィンのパワーは、フィンの固有な性質とフィンに運動を与える人との相関ですから、正しいフィンキックをしなければフィンが持つ優れた固有の性質を引き出せません。じっくり練習することが大切です。パワーを生む要素としては、表2の通りです。
(表2:パワーを生む要素)
フィンの性質と人の動作
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要素
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はたらき
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フィン固有の性質
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フィンの面積
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水をとらえる総面積。
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材質の硬さ、柔らかさ
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ブレードのソリを決定づける
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人の動作
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ストロークの弧の長さ
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フィンが描く軌跡の距離
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アタック角
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アップストローク・ダウンストロークときのフィンの角度
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キックの強弱(数)
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フィンを蹴るときの力の強弱(単位時間当りのキック数)
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1.フィンの面積
フィンの推進力は、フィンの面で水をとらえなければ得られません。推進力の大半はブレードが発生させます。だからといってブレードの面積が大きければいいというものではありません。人が動かせる適度の大きさでなければなりません。素潜りの到達深度を争う競技やフィン競泳で使われる、極端にブレードが長いフィンや両足で1枚のブレードをキックするモノフィンと呼ばれるフィンがありますが、一般的なものでないのでここでは割愛します。
2.材質の硬さ、柔らかさ
フィンを動かすと、フィンは独特のシナリをみせます。このシナリの1点をみたときの、水の抵抗力、運動抵抗、推進力の関係は図に示したとおりです。
フィンは、水の抵抗力を受けて、シナリを作って、推進力を得る、ものですから、材質の硬さ柔らかさが重要な要素となります。硬すぎればシナリませんし、柔らかすぎれば折れ曲がってしまいます。適度なシナリを得るためには、フィンの反発力つまり弾性力が必要になります。フィンの硬さ柔らかさは、この弾性力の強弱ということになります。
3.ストロークの弧の長さ(幅)
フィンの先端が、大きい弧を描くように脚全体を動かします。そのとき、アップストロークでもダウンストロークでも、常にブレードが水を捉えているように、膝関節、足関節を伸ばしてください。特に足関節は、バレリーナがトウシューズでつま先で立っているときの足の甲の伸びをイメージしてください。
フィンは、大きくゆっくり、動かします。
水面を泳ぐときは、フィンを水面で返すのがコツです。膝を曲げフィンが空中に出て、水面をパッタンパッタンとたたく動かし方はいけません。
スクーバで潜っているときじは、身体はすっぽりと水中にありますから、脚は後側までストロークの弧の長さをとれます。ストローク幅の範囲だけでいえば、水中の方がフィンの効率を引き出します。
水面でも水中でも泳ぐ姿勢は、常に水面に平行の姿勢を意識してください。この姿勢が、進む方向に対して最も抵抗のない姿勢です。ただしこのとき、目線は下ではなく、泳ぐ方向を見るように顎を上げます。水面でいうと、おでこの上側で水面を受けるように、顔をもっていきます。
4.アタック角
フィンキックは水の抵抗力を、いかにして水平方向の分力を最大まで引き出すかがポイントでした。これらを有効に働かせるには、、フィンが、ストローク上を移動しているとき、フィンがシナル角度が重要になります。これをアタック角といいます。特にダウンストロークからアップストローク、アップストロークからダウンストロークに移るときのアタック角が最も重要で、このときの角度が、その後のストローク上のフィンのシナリに影響します。有効なアタック角を作るには、先にいいましたバレリーナの足です。
5.キックの強弱
水を撫でるように、フィンをゆっくり動かせば速度は下がります。逆に、急いで動かせば速度は上がり、瞬発力も得られます。船は、力がいるときでも速度を出したいときも、スクリューの回転数をあげて、それを得ています。スノーケリングでもダイビングでも、時には潮流や波に逆らって泳ぐときもあります。そのようなときは、船がスクリューの回転数をあげるのと同じように、フィンキックのピッチ数を上げて泳ぎきらねばなりません。ピッチ数をあげると水の抵抗力も増して、フィンストロークの形が崩れやすくなりますが、ここは我慢、ストローク幅を加減するなどして、泳ぐ姿勢を維持してください。
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