二酸化炭素(炭酸ガス)の影響

 空気には0.03〜0.05%の二酸化炭素が含まれます。この空気を水深30メートルで吸ったとしても、海面換算で0.12〜0.2%の二酸化炭素を吸っているに過ぎません。二酸化炭素の許容限度は0.5%ですから正常な呼吸をする限り、二酸化炭素中毒には罹りません。

 しかし、二酸化炭素は代謝作用によって休みなく作られてきますから、よく排出しなければなりません。呼吸動作は、外界からの刺激や心理的要因で影響を受けやすく、スノーケルやレギュレーターの呼吸は道具や装置を介する呼吸ですから違和感もあり、乱れがちになります。その典型的なものが、速くなったり浅くなったりする呼吸で換気をさまたげます。

 また、タンクの空気を長持ちさせようと呼吸を我慢する人もいますが、いらない二酸化炭素をせっせと貯めこんでいるようなものです。このようなことをしていると、かえって後の息づかいを荒くし、タンクの空気を長持ちさせる効果もなく逆に増やしてしまいます。

 海面換算で3〜4%の二酸化炭素は頭痛やめまいなどの症状を現わします。潜水では密度の高い空気を吸いますから、この点も考慮して、二酸化炭素が体内に滞留しない呼吸、すなわち換気効率がいい、ゆっくり深い呼吸に心掛けて下さい。

 二酸化炭素の蓄積は、窒素酔い、減圧症を起こす原因にもなりますので注意してください。