圧力と体積

【圧力と気体の体積】
 気体は圧縮性の物質で、その体積は、圧力が加われば小さくなり、圧力が減じれば大きくなります。気体の体積は、圧力に反比例します。
 例えば、体積1の風船を水深10メートルに持っていったとき、水深10メートルの圧力(絶対圧力)は2気圧ですから、この風船の体積は2分の1になります。水深30メートルなら4分の1です。逆に水深20メートルで体積1の風船は、水面では体積が3倍になります。

 気体(空気)の圧力による体積変化が、スキンダイビングあるいはスクーバダイビングをする人に、さまざまな生理的影響を与えます。これを「圧力の直接的作用」といい、体腔や潜水するためにできる空間に現われます。

 前々項でスキンダイバーの動作パターンの表で示しましたが、潜降していくときは、体腔や潜水するためにできる空間の体積が、かかる圧力によって収縮します。このとき、ダイバーが潜っている周りの圧力(環境圧)と、体腔や潜水するためにできる空間の圧力を同じに(圧平衡)しないとスクイズという圧外傷にかかります。  また、浮上していくときには、かかる圧力は減っていくので、これら空間の体積が膨張します。圧平衡をしないと過膨張による圧外傷にかかります。

 「圧平衡をするには、どうしたらいいのか」、これがダイビングの技術で習得しなければならないところなのです。

 含気部位は、次の通りです。

【体腔】
 胸腔、腹腔、中耳腔、副鼻腔、歯髄腔などで、圧力による気体の体積変化を受けるところです。特に、周りが硬い骨にかこまれていたり、閉鎖されていたりする部位は、目立ってこの影響を受けます。

【潜水するためにできる空間】
 マスク内空間が代表的なところで、ウエットスーツがしわになって空気が残っているところです。スキンダイビングではあまり用いられませんが、ドライスーツを着たときの身体とドライスーツの間の空間です。